鹿革のきもの

コラム 2022.06.03

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「ニューヨークADC賞」で、篠原ともえさんがデザインを手がけた「鹿革のきもの」が、2つの部門でそれぞれ銀賞、銅賞を受賞した、というニュースを聞きました。
そのすぐ後に、第103回東京レザーフェアが開催され、日本タンナーズ協会のブース内でその「鹿革のきもの」が一般公開されており、とても素晴らしい出来上がりとそのコンセプトに感動しました。
皮革産業界内ではごく当たり前のことである、革本来の持つエコやサスティナブルな面が、彼女の功績によって一般の方達にも広がると良いなと思いました。
ちなみにこの鹿革を作ったのは伊藤産業(株)さんで、その代表は弊社の所属する日本ソフトレザー事業協同組合の理事長であります。
以下、公開されていた「鹿革のきもの」と共に掲載されていた文章です。

篠原ともえ x 日本タンナーズ協会

日本における皮革文化の歴史は1300年前にも遡り、牛や馬の革の加工技術が伝わる17世紀以前は
主に鹿革が甲冑や鎧といった武具、または神具や日用品として広く使われた、
今回、作品に使用した北海道が原産のエゾ鹿革は、近年深刻化する農作物や森林への
被害を防ぐために捕獲されたエゾ鹿からもたらされた副産物である。
SDGsが謳われる昨今、埼玉県草加市のタンナー・伊藤産業と協業し、
かけがえのない命からいただいたこの貴重な革を無駄なく生かすという観点から、
日本産の本革の魅力を独自の切り口で提示することを試みた。

製品化の際、自然の美しさを宿した端の部分はカットされ廃棄されてしまう。
そこで、本来なら捨てられてしまう革独自の有機的な端の曲線美に着目し、
その形を動物たちが暮らす山容に見立ててイメージを構築、
日本の水墨画を彷彿とさせる幽玄の世界と掛け合わせ、革一枚一枚に山の稜線を再現。
生地を無駄なく使う日本の伝統衣装「きもの」に仕立てることで、唯一無二の姿へと変容させた。
ものを大切にする人類古来の精神と日本人の審美眼、
そして、革職人たちの高度で優れた技術がこの作品を完成へと導いた。

革1枚からでも承ります。
皆さまの"こだわり"をお聞かせください。

"もっと新しい革と出会いたい"、"もっと面白い皮革製品を作りたい"と思っている方、
企業の製品開発の方、革製品の職人の方など、お気軽にご相談ください。

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